【映画】エイリアン コヴェナント/Alien: Covenant(2017)【感想】
SF映画史上筆舌尽くしがたいクリーチャーが登場する「エイリアン」シリーズの新章最新作!前作プロメテウスに続いてメガホンをとったリドリー・スコット監督作品!そしてざっと見たところ5段階評価で平均4といった評価だったので、本国で酷評と聞きつつもエイリアン好きの一人として観に行きました!
コヴェナントとは「誓約」や「契約」といった意。
絶望の、産声
どうしてこうなった。
記事タイトルを【どうして】エイリアン コヴェナント【こうなった( ^ω^)】と2chのスレタイみたいにしようかと思ったくらい、「どうしてこうなった」と思う作品。
私は4/5評価をつけられない…高くみても3くらい…。
小島秀夫がみた『エイリアン コヴェナント』という記事が私の感想とほぼ同じです。
なので私が語ることは殆どありません…。
小島監督の表現にあわせていうなら「新作料理食べに行ったら、料理人が生産者つれてきたでござる」という感じでしょうか。
あ!全体的に映像は非常に緻密で、本当に非の打ち所がないと言っても過言ではないくらい美しいです!こだわりを感じさせます!素晴らしいです!
以下、ネタバレツッコミ(感想)をダラダラと…
どうしてこうなった、その1――ミッションの脱線
2000人の入植者輸送船という設定は大好きな「パンドラム」と似た設定ですね。
そんな重大ミッションを抱えながら、1つのアクシデントを契機にコールドスリープから覚醒したクルーたちは「あと7年半も寝るのいややねん!近くの地球に似た星に行くねん!なんか亡霊の声するけど」というわけですよ。
いや、それはないでしょう。
たとえば事故で酸素レベルや燃料が危機的状況で、こうなったら一か八か生存をかけて〜、ということだったらまだ納得したかもしれません。
物語の出だしからこんな感じです。
どうしてこうなった、その2――危機認識能力の低さ
たとえ大気組成が地球のそれと類似しているとはいえ、ヘルメットなしで惑星探査を始めちゃうクルーたち。私はそれすごくコワイです。映画「宇宙戦争」であったように大気中の細菌や微生物といった存在の脅威です。何が居るかわからない、人体に有害か無害かも分からない他惑星に登山装備で降りるわけです。防護服(主にヘルメット)なしで。
いや、それもないわー…。
案の定、粉エイリアンの餌食となるわけですが…。これはプロメテウスでも似たような状況に陥っていましたよね…。
また2人一組での行動を義務付けない隊長というか艦長…。そういえば艦長(コールドスリープで死んだ艦長に代わり繰り上がり)副艦長(主人公)そろって惑星に降りるとかも…ないわー…。副艦長は残るものでは?この点は私の認識違いなら申し訳ないです。とにかく単独行動で死亡する人が3人はいる。そのせいで5人位死んでいる気がします…。
ない…ないわー。
どうしてこうなった、その3――デイヴィッド全般
全部デイヴィットのせい。
でも私、デイヴィット好きなんですよ。プロメテウスの頃から。人間らしさのない、機械らしいアンドロイド。不気味の谷を超えない存在。それでいて人知を超えた存在。無垢でいて邪悪。そんな存在が目覚めた/覚えた好奇心(キュリオス)こそがパンドラの箱を開けるに相応しい。
それでも今回の展開はないわー、いや、ないわー(大事なので2回いう)。
あと初見ではマイケル・ファスベンダー老けたな―(ってかアサシンクリード観なきゃ)という思いでいっぱいで…。プロメテウスから随分時間を経てしまったと感じ…。
作中でもプロメテウス号が失踪してから10年経過しており、10年の孤独のなかでどうにも暇を持て余したデイヴィットがあんなことやこんなことをして過ごしていたところへ人肉が!という展開。
…本当にどうしてこうなった…。
このデイヴィットの所業は、先にもいった好奇心と人類に対する評価の変化からきたものですが(デイヴィットはアンドロイドとしてアシモフの三原則すらまる無視した存在ですね)…それと彼の所業がどうも結びつかないのです。人類を滅ぼそうと思うに至ったのはまあ納得しますが、エンジニアの遺産からそれが可能な生物を作り出すよう研究し成功したというのが…どうも釈然としない。
それは多分私が「エイリアン」好きだからだと思います。
私にとって”エイリアン”は人間を餌食にする存在ですが、決して人間に由来する存在ではないと思っていたからではないか…。
人間とは全く接点を持たない異類の存在。その脅威。
それが私にとっての”エイリアン”でした。
しかしコヴェナントで”エイリアン”はエンジニアとアンドロイドを介して人間をその起源にもつとされてしまった。
…そういえばプロメテウスでもそのようなことがすでに描かれていたことに今思い至りました…。以下は分かりやすいプロメテウスの画像。
画像との差異は一番下、エイリアンはエンジニアからではなく、結局人間を介して”エイリアン”として誕生。卵やフェイスハガーはデイヴィットの努力の賜物だった、ということ…。
わたしはそこに絶望したのかもしれない。
人間が造ったアンドロイドがエイリアンを創ったことに…。
その事実が私に最後の「ないわー」を嗚咽とともに叫ばせるのです。
コヴェナントはそんな映画でした…。