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Shilhouette

せっかくなんで観た映画を徒然なるままに

【映画】インフィニ/INFINI(2015)【感想】

movie

予告編を見た時パンドラムを思い出して観てみたくなった映画。

「パンドラム」はもっと評価されても良い映画だと思うんですよ!小道具とかよく出来ていると思うのです。例えばインスタントコーヒー。宇宙食インスタントコーヒーはレーザーを照射すると(その熱で?)液体化するというとても保存が効きそうな品です。髭剃りなども刃ではなくレーザー。これで誤って切ってしまうこともなさそう!

このままではパンドラムを称える記事になってしまいそうです。

 

「インフィニ」は噛めば噛むほど味が出るスルメ映画です。好みは分かれるでしょう。

個人的には「パンドラム」ほど引きこまれなかったw

でもそれはハリウッド的なカメラワークやCGのない(低予算であったそうです)ためで、シナリオや設定はすごく面白いSF!なので人を選ぶ、惜しい映画だと思います。

SF好き(得意)な方にはおすすめです。

 

マトリックス』シリーズの制作スタッフが新たに描く、革新的SFスリラー!ここでは、人類の《常識》は通用しない。 © 2014 Storm Vision Entertainment Pty Ltd

 

 オーストラリア制作映画、というのはあまり見る機会がない(私は多分見たことない)のですが…すごく独特の雰囲気があるように思いました。なんとも形容しがたいのですが…。

あとスリラーですが全然怖くないです。

 

もう一つ特筆するなら、SF用語が多いので理解するのが大変なシーンも多いです…。用語に対する説明はほとんどありません。例えば私は「ペイロード」という用語などを知らなかったので一回見ただけでは「??」と思うことが多かったです。しかしその点ではSFとして完成度が高い作品であるからかもしれません。

 

以下、ネタバレ感想をダラダラと…。

 

23世紀――科学技術は大いに発展した反面、世界人口の9割が貧困層という状況。

スリップストリームという転送技術により危険な宇宙での資源採掘などの仕事に従事する人が多い…というのが前提。

このスリップストリームは精神錯乱や記憶障害などもあり得るようで、運用はされているものの物議をかもしている技術だそう。

なので私は当初、なんらかの異生物に襲われているのではなく、錯乱した人間同士のただの殺し合いでした…というストーリーかと邪推しておりました。

 

惜しい点は登場人物が多い割にそのキャラクター性があまり描写されていない点だとおもいます。主人公ウィット・カーマイケルはまだ良いほうです。「貧困から脱するため妊娠中の妻を置いて危険任務に行こうとしている」というバックボーンがあるので。

しかし他の登場人物は名前だけで、会話の中でさらっと抵触するバックボーン以外に何ら説明は無く…その為人物像が掴みづらかったです。

 

個人的に把握した登場人物像をメモ。

ウィット・カーマイケル…主人公。貧困から脱するため妊娠中の妻を置いて危険任務に行ったら大変なことに巻き込まれた。絶対家に帰る。

モントーリ・リース…インフィニへ派遣された調査官。感染者。本部からの帰還を拒んだため、ウィットが派遣された西SS兵站部隊が救出を試みた人物。地球にオーパスという危険物質を転送しようとした。

<救援部隊>

ハリス・メンジーズ…天の川に届くほど娘ラブ。慎重な性格に思える。

モーガンジャグラー…クレアのお腹の子の父親。しかし生活能力を理由に結婚は渋られている模様。全部貧困のせい。

チェスター・ハンティントン…機械担当。でも叩いて直すアナログっぷりを披露。やたらとウィットに絡む。妻子持ち。もしかしたらすぐ手を挙げる人間?(作中でウィットを攻撃している時、懇願する女性の声が入ってきたのでDV野郎なのかと…でも具体的なことは何も触れられてないですが)早期帰還要請が出来るもう一人の人物。

ヨハンソン大尉…隊長。ウィットが発信した質問に応えた人。早期帰還要請の権限を持つが、斧で襲いかかってきたモントーリに殺られてしまう。良いとこなし。

クレア・グレニッチ…衛生兵。モーガンとの結婚を渋っている。闘うシングルマザーに?強すぎるので決断も思い切りがすごい。

チャーリー・ケント…空気だったキャラ。クレアのことを気にかけるけど三角関係とかそういうわけではなさそう?唯一輝いたのはウィットとの追いかけっこ。

フィリパ・ボクセン少尉…新人。もしかしたら一番空気だったキャラ。

レックス・マニングス…安全強化要員。本人は政治家を目指しているとか。グロいものを発見。モントーリに発砲したことで感染拡大させる。

 

ウィットは初任早々の任務――所属した西司令部で、転送先からの帰還者に重篤な検疫違反が起こったことで施設が閉鎖、「デルタロックダウン」というの汚染拡大を防ぐために所属部隊員もろとも基地を壊滅させるという絶体絶命の状況に巻き込まれます。

正直いきなり過ぎて主人公だけでなく視聴している私も訳が分からない状態。

 

先も言いましたが専門用語が多く何が何を表しているのかさっぱりで。「デルタロックダウン」の意味を理解したのは東司令部での説明を2回ほど聞いてからだった。それでも「ブラックボックス」が何かとか、スリップストリームを無許可で使用することの違法性?は何かとか…状況はさっぱりです…。

 

ウィットは生き残るために転送設定された場所――先遣分隊が錯乱した場所”インフィニ”という基地へ無許可でスリップストリームし逃れます。(基地に残っていたらデルタロックダウンによる致死性ガスで死亡してしまう。このときデルタロックダウンに残された隊長の哀れっぽさを思うと胸が締め付けられると同時に、登場後あっという間に死亡するキャラに「なんかもっと掘り下げたらもっと面白かったのでは?」という思いが強く出てきます)

 

西師団が壊滅したためオーパス伝送の阻止のため東師団から救援部隊が派遣。

ついでに唯一生存しているウィットを救出することに。

 

ウィットと合流後、オーパスの伝送は止めることに成功したものの、モントーリの襲撃であっという間に感染拡大。

ヨハンソン大尉はモントーリの襲撃で死亡。モントーリはマニングスが射殺するも、その際の飛沫血痕を浴びて感染。その場にいたハンティントン、ケント、フィリパも感染。微量だったが血液を浴びたウィットも感染。

 

ところでモントーリはどこで生存してたんでしょう??

ウィットが通気口を爆破したことで施設内に外気/冷気が充満。エア・パージするまでは−70度以下の極寒で流石に生きていないはず…。

オーパスに寄生されていたためシーモンキーみたいに(ラストの皆のように)常温下で復活したのでしょうか…?それなら他の死体が復活しないのは不自然なのでやっぱりどこかでウィットみたいに隠れ潜んで生き残っていたのでしょうか…。

 

あとモーガンとクレアがどこで感染したのか不明です。

あー…あと凍結した死体のアペックス(スリップストリームの為に脊髄に装着された機器)あたりから飛び出してた棘がなんだったのかとかも不明…。

 

感染したケントから逃げ切ったウィットは医療施設でモントーリの研究を発見。

オーパスが単に揮発性の高い鉱物ではなく、インフィニの生命体――凍結した有機体で、曰く”原始のスープ”であることを知ります。生命の進化と比べればずっと短時間で人体の器官を再現するほどの進化能力をもつ原初生命体。

 

恐らくモントーリは調査/実験している最中オーパスに感染。

 

人間はオーパスを燃料にしようとしていたようですが、オーパスからみたら自分たちを燃やそうとしている…侵略者が来た!といったところでしょうか。

なので人間を襲ったのか、あるいは寄生侵蝕するのが特性だったのか…とにかく人間との接触で、人間が原始的にもつ「捕食本能」であったり「支配欲」を学習し攻撃的になったと。

寄生されたモントーリは地球にオーパスを送ってさらなる支配を目論んでいたようです。

 

オーパスは非常に高度な進化能力を持ちながらも、ウィットいわく「まだ知性が進化していない」生命体――”命”に対する理解がなかったようです。

食堂にあった人間を部位ごとに解体したものは、人間を理解しようとしたためかもしれません。

 

最終的に生き残った(最優位者となった)ウィットの説得から、オーパスはウィットだけでなく救援部隊を蘇生させました。

他者を認識したり、育んだり、攻撃する以外の生き方――共存という道があるということを理解したようです。

個人的に皆を蘇生させたのは人間に愛情を感じたとかそういうことではなく、オーパスを地球に伝送できなくなった代わりなんじゃないかとも邪推。

人間の組織をオーパスは複製できる…ならば再生された救助隊の肉体はオーパスが含まれています。一応有機体なので恐らくそう差はないのですが…一応保持者になるのではないかと…。

 

何にせよ、オーパスは人間との接触で学習し知性を得たのかもしれません。

アメーバ状だった容姿も最後は人間を模した半透明の肉体をもつに至りました。これまで他者という存在を感じさせないアメーバ状で一つの塊みたいだった生き物が、個体をもつようになったわけです。他者に寄生し相手に干渉/侵蝕するのではなく、誰かがいることを容認するという進化/変化です。

 

蘇生された救助部隊からはオーパスに関する記憶が抜けており、違和感を覚えつつも帰還。地球での検疫/尋問も異常がないということで無事通過。実際にオーパスに関するものは全て抜き去られていて感染などではないのでしょう。ただ先にも触れたようにそれが本当にオーパスでない証拠もないのです。

検疫/尋問のシーンはラストで一番緊張するシーンでした。検疫違反ということで戻っても処置されてしまうかもしれませんし。

 

長い52秒(高重力での時間の遅れのような、地球とインフィニにおける相対的な時間の差。インフィニの長い一日が地球ではほんの一分ほどだった)ウィットは無事?帰還を果たしました。

 

思い返すとすごく面白い設定!

インフィニという場所の環境だとかオーパスという生物、スリップストリームの設定とか…「パンドラム」に負けない素晴らしい世界観!

でも!

わかりづらい!!

初見ではわかりづらい!!SF素人にはハードルも高い用語の数々、人物像も丸投げです!!でもすごく壮大なストーリーなので脚本も難しかったのだと思います…。

 

SFに派手なアクションを求めている方、スリラーでドキドキしたい方にはあまりオススメはしません。SF(「パンドラム」とか「ブレードランナー」「トランセンデンス」)が好きな方はオススメかと。

噛めば噛むほど味が出るスルメ映画、味わってみませんか?