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Shilhouette

せっかくなんで観た映画を徒然なるままに

【映画】シャーロック 忌まわしき花嫁/SHERLOCK The Abominable Bride(2015)【感想】

現代版のドラマとは異なり1895年を舞台にしています。総集編みたいな作品なのでこれまでのシリーズを視聴してからがお勧めです。

多分単発で観てしまうと…意味が分からない部分が多く出てくるのではないかと。作中にあるTVシリーズのオマージュとか、人物の相関図、モリーの魅力とかモリーの魅力とかモリーの魅力が。

今作はなんというか…作りが難解な作品です。

 

トーマス・リコレッティの前に、数時間前に命を絶ったはずの夫人がウエディング・ドレスを着て現れる。一方、レストレード警部から夫が妻の幽霊に殺された、と事件の説明を受けたシャーロック・ホームズは、ワトソンとともに事件解決へと乗り出すのだったが…。シャーロック・ホームズジョン・ワトソンの名コンビがロンドンを舞台に活躍する、TVドラマ「SHERLOCK/シャーロック」の特別編。

今回は吹き替え版で視聴。

 以下、ネタバレ含め感想をダラダラ。

 

「シャーロック 」の世界観ではアーサー・コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」が存在していないそうですね。最近知りました…。

1895年の舞台はシャーロック・ホームズが小説のキャラではなく実在人物で、ジョン・ワトソンは関係した事件を記事にして生計を立てている小説家のようです。挿絵画家のせいで似合わない口ひげを生やすことになったんだとか。

ジム・モリアーティは教授/数学者でシャーロックとは対決済み、ライヘンバッハの滝で突き落とされて既に死亡。

 

S1#1のようにアフガン戦争から帰還したジョンが奇妙な同居人シャーロックに出会い、様々な事件を解決していきます。その中で特にシャーロックを悩ませた「忌まわしき花嫁事件」についての語り、という形で物語は始まります。

冒頭ははS1#1のオマージュがほとんどですが、主要キャラクター紹介としては充分かと思います。その中でS3#2で出てきたアーチー少年などにくすっときます。

 ジョンとメアリーは結婚済み。でもメアリーそっちのけでシャーロックとほいほい出かけるジョンに対してメアリーは不満げ。夫人参政権運動に参加中だとか。

 

 痴話喧嘩はよそでやってくれ―、というシャーロックのもとに怯えた風のレストレード警部がある事件を持ち込んできます。

 

結婚記念日に花嫁衣装で銃を乱射後、自殺したエミリア・リコレッティ。

しかしその夜、死んだはずのエミリアが夫――トーマス・リコレッティの前に姿を現しショットガンで殺害。人々はリコレッティ夫人が地獄から蘇ったと恐れおののきます。

 ちなみに吹き替え版で「ショットガン結婚よ!」って言ってますが…”shotgun marriage(デキ婚)”のことですよね…これもっとこう、別の表現にならなかったのかしら…。でも当てはまる言葉思いつかない…。それに確かにショットガン持ってますし、当時のデキ婚だと充分事件の動機になりえるからネタバレになっちゃうと思ったとか…?

 

死体安置所にある死体は確かにエミリア・リコレッティその人のもの。

ちなみに死体安置所にはアンダーソンと男装のモリーが。モリーモリー…なんか似合うような似合ってないような…。

さて死んだ人間が誰かを殺すなど不可能なので推理するシャーロックに、ジョンが双子説を唱える。私は内心「それなんてクリムゾン・リバー?」とツッコミ。もちろんシャーロックからは即却下される。

 

事件は謎のまま、その事件以降もエミリア・リコレッティの亡霊による殺人事件が続きます。レストレード警部/スコットランドヤードもお手上げ。そんなレストレード警部をシャーロックは叱責。エミリア・リコレッティを騙って誰かが凶行を繰り返しているだけだと一刀両断。

それよりもシャーロックはジョンが結婚してアパートを去ってしまったことのほうが問題のよう。

ジョンもまたメアリーとの結婚生活がギクシャクしているのでフラストレーション溜まっている模様。

 

シャーロックはジョンを誘ってディオゲネスクラブ――マイクロフトの元へ。

 

マイクロフトはしっかり巨体で登場。なんか巨体過ぎて気持ち悪いぞw

暴食を満喫しています。自分の余命を賭けに使うほど、健康に関する忠告などそっちのけで欲望のままに飲食する様はなかなか…白目の色も含めて本当にキモくできています。キモいです。何度でも言ってしまいたくなるほどに。

そんなマイクロフトから「調査」の依頼を受けるシャーロック。

目に見えぬ脅威が近づいているという。その推測を裏付けて欲しいと。そのためにカーマイケル夫人から依頼を受けるようにと。

 

カーマイケル夫人の依頼とは…。

ある日夫、ユースタス・カーマイケルの元にオレンジのタネが送られてくる。

そしてあの女――花嫁の亡霊/エミリア・リコレッティが現れたという。ユースタスは自分が裁かれる時が来たと恐怖する。

死の予告を受けたと。

そんな夫を護ってほしいという依頼。

シャーロックはユースタスを餌に亡霊――犯人を捕まえよう!とウキウキ。

 

一方メアリーとマイクロフトは結託し何やらしている模様…。

 

シャーロックは繰り返し告げます。

「この世に亡霊など存在しない。人が作り出した以外は」

 ただユースタスは必ず誰かに殺されるという。根拠はオレンジの種。オレンジのタネはアメリカの習わしで処刑を予告するものだとか(S1#3でも台詞中にちらっとほのめかされていました)。

そして夜――温室?で張り込みする2人。

館の戸締まりは厳重にしてもらい、誰か侵入を試みればすぐに駆けつける算段。

アイリーン・アドラーへの恋慕について高校生か!というトークを繰り広げようとするジョンに苛立ちつつ時間を潰す2人。

 

 そしてついに2人の前にぼんやりと光る亡霊の姿が!

続いて窓が割れる音を聞き2人は館内に乗り込むが、力及ばずユースタスは死亡。

暗闇の中、ジョンの背後に現れる亡霊エミリアの演出等、なかなかホラーでいい感じです。

 結局依頼を守れずレストレード警部がかけつけ現場検証を行うと、不思議な事に割れた窓は2人が館内に乗り込むため破壊した窓だけ。では最初に割れた窓は?と不可解に思っているとさらに不可解な出来事が。最初にユースタスの死体をみた時にはなかった、ナイフに「Miss Me?(会いたかった?)」の書き置き。

その言葉にシャーロックはジム・モリアーティ教授を思い出し、戦慄する。

 

精神世界でのマイクロフトと会話し状況を整理。

ライヘンバッハの滝のビジョンからモリアーティ教授という存在に悩まされるシャーロック。モリアーティ教授との対決はメロドラマと評するマイクロフト。(コナン・ドイル的には純文学を書きたかったのに、彼の名声を支えることになったのは純文学ではなくラノベのような「シャーロック・ホームズ」というある意味のメロドラマだったからこういう台詞なのかしら?)

マイクロフト「リストが必要になる」

この台詞がちょっと気になりましたが「何の」リストなのかこの時具体的には言及されていません。

 

 シャーロックは2日間アパートで瞑想――精神の宮殿にて推理する。

ユースタス・カーマイケルの死以外にもあるエミリア・リコレッティによる事件の記事は多数。

やがて瞑想してるかと思えばヤクに手を伸ばすシャーロック。

そこに現れる…ジム・モリアーティ!待っていた悪魔の到来。ぐらつく世界。

ジムに問いかける。

 

シャーロック「頭を吹き飛ばしたのに何故生きてるんだ?」

 

おどけながら応えるジム。

 

ジム「人は落ちるから死ぬんじゃない」

ジム「地面に着くから!」

 

そこでジェットが着陸(S3#3のエンディングの続き)。

 

実はここまでシャーロックの”精神の宮殿”の話!なんということでしょう!

そういえば1895年のマイクロフトの発言の中にジムを「データのウィルスだ」という表現があり、ん?と違和感を覚えたのですが、なるほど。1895年にそんな概念/表現が出るはずないですよね。脚本すごい。

 

マイクロフトは精神の宮殿の濫用は危険、と懸念を示します。

夢のなかでさらに夢(意識の深く)へと潜っていく様はまさにインセプション…戻ってこれる保証などない。

しかしこの精神の宮殿での謎をとくことが、現在(現実)のジム・モリアーティとの対決に必要なことだとシャーロックは主張します。

自身の目の前で銃口を咥え自害したジムが何故再び現れたのかを、自害し亡霊として殺人を繰り返したエミリア・リコレッティ――「呪われた花嫁事件」から糸口を得るために。

 

マイクロフトはシャーロックに「リストはあるか?」と再度聞きます。

「リスト」――シャーロックが濫用している薬物のリスト。

 思考を明瞭にするためにと薬も手を出している上、精神の宮殿で更に脳汁が出ている状態はかなり危険…。

 薬のことを含め周囲があれこれ話していることで集中できないシャーロックは苛立ちますが、ジョンの言葉をきっかけに再び精神の宮殿へ。

 

再び精神の宮殿の世界――1895年。

目覚めたシャーロック、ジョンのもとにメアリーの危機を知らせる電報。

この事件もついに佳境に入ります。

 

メアリーはマイクロフトの依頼を受けてエミリア・リコレッティに関する一連の事件を調査するため潜入していました。「頭がいい方のホームズさんの依頼」という言い方に笑ってしまう。流石メアリー!流石マイクロフト!

そんな頭のいいマイクロフトには出来ないこと…解らないことがあれば突入するのがシャーロック!相手が幽霊でも儀式集団でも。

 

そこには数多の女性の姿。

彼女たちの口から次々に語られる真意――怒れる花嫁たちの復讐劇。

事件の発端であるエミリア・リコレッティも「ショットガン結婚(デキ婚)」と言ってましたし、不本意な結婚/不幸な結婚…。そのうえ病(結核。冒頭でジョンが検死時にちらっと所見を述べている)に侵され余命短い中で決意した、命を賭した復讐。

そしてその死を無下にせず遺志を継いだ人々。

一人の女性の犠牲をもって蜂起した勢力。

婦人参政権(など諸々の女性の権利)確立のための集団。

それがこの事件の真相。マイクロフトのいう目に見えぬ脅威の正体。男尊女卑的な社会であった19世紀イギリスの転換期…今でこそ一般的なその変革は当時かなりの「脅威」であったとおもいます。

 

しかしシャーロックは解せない…何故殺す予定の夫を護るよう夫人は依頼したのか。

その動機は?

ジム「訳がわらなくて当然、これは現実じゃないんだから」

 ジムが花嫁姿で出てきた!

ジム「じゃじゃーん♪」

 いやーなんというか変態だから似合いますね。なんでこう挙式できる条件を揃えたですかーヤダー。

 

精神の宮殿へどんどん落下していくシャーロック。瞑想で危険とも言われる状態。どんどんインセプs…。ヤクもコントロールする為に使っていると言ってたのは何だったのか?

ジムが再び現れた真相を解明したくてどんどん精神の宮殿の深み(忌まわしき花嫁事件)へハマっていく。

現実へ戻ったかと思えばそれも現実がトレースされた精神の宮殿であったり(インセp…)。

 

そしてついに精神の宮殿の深淵…ライヘンバッハの滝――対決の滝まで落ちたシャーロック。もちろん待ち構えているのはジム。

シャーロック「この舞台…メロドラマだな」

ジム「全然だ!」

珍しくマジレスするジム。

精神の宮殿の深淵にいるジムはシャーロック脅威の権化、死への誘惑といったところでしょうか。マイクロフトの言った、ジムはシャーロックの頭/精神というハードディスクにあるウィルスという表現はまさに言い得ています。自分によく似た存在と認める者から罵倒と攻撃を受け、シャーロックの精神を犯していきます。

そして小説「シャーロック・ホームズ」のように滝での死闘。この辺のアクションはロバート・ダウニーJr.の方が見応えはあると思いますが(アクション映画ですし)。

追い詰められるシャーロックに追い打ちをかけるジムは絶叫します。

 

ジム「最後はいつだって君と僕だけだ!」

(多分お前は孤独な存在だ、と同義だと思います)

 

そこに咳払いが…ワトソンとの絆がその窮地を救います。

 

ジョン「私が見る限り、あなたを鬱陶しがっているようなので」

ジム「二人がかりはズルい!」

 

 どちらの発言にも「たしかに…!」と此処で思わず失笑してしまいましたw

シャーロックとジョンの絆の間には何も入り込めないようです。(少なくともシャーロックの精神の宮殿では)

ジョンはシャーロックの覚醒を促します。同時にジムの始末も。

 

 ジム「駆け落ちでもしろ!気持ち悪い!」 

シャーロック「鬱陶しい」

ジョン「私が、やっていいか?」

シャーロック「どうぞどうぞ」

 

ジムは邪魔なのでご退場願います。ジョンがジムを突き落とすのは笑ってしまった。落とし方も、「押すなよ!絶対押すなよ!」的な感じだったものですからw

 

そしてジョンに促され、覚醒するためにシャーロックも滝から落ちます。

 夢で死にそうになると意識は覚醒しますが、そのまま死んでしまうと意識も死んでしまう…。というインセプション等である設定に準じるのであれば、目覚めるために落ちるのは帰り道としては正しいと思います。ただ、ジムと同じように落ちるというのはどこかジムの覚醒も強く意識させます。

 

目覚めるシャーロック。

 

「会いたかった?(Miss Me?)」

 

自分の中にあるジムとの対決を終え、ジムと同じ台詞で現実の世界で再来を宣言。

 

そしてシャーロックは濫用していた薬物リストを破り捨てます。

最後にジョンにシャーロックのことを託した後、マイクロフトが破り捨てたリストの破片をそっと手帳に挟む姿に愛情を感じました。愛犬の赤ひげの名もしっかりメモしてある。シャーロックの弱点を兄はよく知っているんですね…知ることで守っているのかもしれません。

 

薬と精神の宮殿を経て、シャーロックはジムは確実に死んでいる、と結論づけます。

「この世に亡霊はいない。人が作り出した以外は」

ではジムが死んでいるのに何故今再び現れたのか。何者が関与しているのか。その謎はまだ明かされないながらも、シャーロックはジムの次の手を理解しているようです。

 

一方、1895年の世界でも戻ってきたシャーロックはジョンと話しています。精神の宮殿でちらっと話した未来のこと。電話や飛行機、二人の関係…実は本当に過去の話だった…かもしれない?もしかしたらパラレルワールド?かもしれない。

そんな不思議を残して物語は終幕。

 

始終インセプションと言ってしまいましたが面白かったです。

でも一回観ただけではよくわからない点が多数ありました(苦笑)

あえて不満点を挙げるならばテロップが少なかったことでしょうか。わくわくしないというか…なんとなくテロップが出てきて変態シャーロックの頭のなかが見えるのが私にとっては面白い点なので。

毎回シャーロックでは映像でも脚本でも新しいものを取り入れ、かつ意外性で見る人を惹きつけます。今回もそんな作品です。

シーズン4が気にならないはずがありません!

とてもとても期待しています。