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せっかくなんで観た映画を徒然なるままに

【映画】シン・ゴジラ(2016)【感想】

予習に本家ゴジラやハリウッド版ゴジラを視聴してから観に行きました!

この映画は噛めば噛むほど味が出るスルメ映画であり、かつ非常にオタク向けB級映画だとおもいます!

なのでアクション系映画、あるいみの娯楽映画を期待して観るととてもつまらないかも。オススメ層は…本当にオタク層でしょうか。文学的なオタク、ミリタリー系オタク、サブカル系オタク、鉄道オタク…映画では「パンドラム」「インフィニ」「エイリアンvsプレデター」好きな方ならはずさないと思います。

情報量が非常に多く、私は大好物な映画ですね!いろいろ妄想しがいがあります。

 

ゴジラ FINAL WARS」(2004)以来12年ぶりに東宝が製作したオリジナルの「ゴジラ」映画。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の庵野秀明が総監督・脚本を務め、「のぼうの城」「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」の樋口真嗣が監督、同じく「のぼうの城」「進撃の巨人」などで特撮監督を務めた尾上克郎を准監督に迎え、ハリウッド版「GODZILLA」に登場したゴジラを上回る、体長118.5メートルという史上最大のゴジラをフルCGでスクリーンに描き出す。内閣官房副長官・矢口蘭堂を演じる長谷川博己内閣総理大臣補佐官・赤坂秀樹役の竹野内豊、米国大統領特使カヨコ・アン・パタースン役の石原さとみをメインキャストに、キャストには総勢328人が出演。加えて、狂言師野村萬斎ゴジラモーションキャプチャーアクターとして参加している。

シン・ゴジラ : 作品情報 - 映画.com

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視聴直後のハイテンションで書いているのでまだまだ細かい所、ちゃんと理解していない点が多いとは思うのですが… 

 

以下、ネタバレ感想ダラダラと。

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【映画】セッション/Session(2014)【感想】

宣伝されると嫌でも気になってしまいます。でも私は宣伝の”血まみれの手でドラムを叩く姿”に戦慄してより興味を持ちました。(自分でもなんという動機だと思いますが)

2015年度アカデミー賞®のダークホースが、3冠を獲得!!名門音大に入学したドラマーと伝説の鬼教師の狂気のレッスンの果ての衝撃のセッションとはーー!?[才能]VS[狂気] この衝撃に、息をのむ。© 2013WHIPLASH, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

 

もうすごい映画でした(戦慄) 

こんなにおもしろい映画はあまりない…!いや、最近観た中ではなかった…!この興奮に絶賛せざるを得ない。

しかし女性向きではないかも?あと慈愛のカケラもありませんので、決してカップルでご覧になるようなことはないように。

この作品で描かれているのは狂気的なまでの究極です。

 

主人公はアメリカ屈指の音大に入学したニーマン。

フレッチャーという人物との出会いが彼を狂気的な何かへ導きます。

 

正直主人公ニーマンはボンボン学生だと思っていたのです。しかしフレッチャーだけがその狂気/極限にいたのではなく、ニーマン自身が向かっていたことに戦慄。

気になる彼女、ニコールに逃げるかと思えばそんなこともなく…ニーマンが極まっていた…!

 

ニーマンもフレッチャーと同じ人間――芸術家だった。

 

芸術家なんてだいたい糞野郎です。分野に特化した人間というのはそれ以外に取り柄がないからこそ特化するともいえます。社交的な芸術家なんてあんまりみません。慈善活動的な芸術家というのは聞いたことありません。例えば魯山人、彼の遺した言葉は大好きですが人間としては嫌いです。

 

芸術家の矜持――心身ともに負荷をかけて限界を突破することで、洗練され高みへ向かう――それは分かります。自身の肉体を、その精神を、ただ音楽と一体化するためにと虐め抜いた先に得られる技術…究極。

それがフレッチャーが享受しようとしたもの。

その師弟関係に愛があるのか…と一瞬考えましたが、すぐに愛など不要と気づきます。

技術、ただただ技を極めること。余分な部分を全て余分な部分を全て削ぎ落とすことで得られる、削ぎ落とすことで得られる究極を目指すこと、ある意味それが師弟愛(バカな。私はそれに関しては一部否定します)

 

作中でニーマンはフレッチャーが時折見せる人間味ある姿を見ていて、それがあるせいか憎みきれなくなります。厳しいのは音楽に関することだけ、と。

そんなこともないみたいですが。

フレッチャーという人物の人情はカテゴリーが難しいです。人らしい愛情があるとは言いがたい、でもすごく感情的。ただ言えるのは本当にジャズにの匠であるということ。だから認めてもらいたい、認めさせたい、認めろ!と移り変わるニーマンの想いにこちらも共感。事故にあっても這って縋るニーマンを無情に千尋の谷へ蹴落としまくるフレッチャーについに激昂するニーマン。

その騒動を経てニーマンは退学、フレッチャーは首に。

再会したフレッチャーがニーマンをジャズの演奏会に誘い

「よし、楽しもう」

といった時、フレッチャーがすごく好きになってしまった。「ああ、フレッチャーはジャズを愛している。だから厳しいのだ!」と。

 で、私のそんな感激は裏切られるという。

誘った演奏会で披露する曲目は全て嘘。ニーマンの証言に学校を首になったことを、大衆の前で恥をかかせることでしっかり復讐するフレッチャー。大きな会場で取り繕うこともままならず、自身の不出来さ(決して力不足ではないのに)を披露するような形になったニーマンが感じるプレッシャーが、観てる此方にも伝わってくる…!

この展開はもう…最高です!もうホント糞野郎です!

無情なのに感情的な男の所業。悪魔というか幼稚というか。

 

思うにフレッチャーの不幸は「教師になったこと」ではないでしょうか。

フレッチャーは匠であり学校の先生ではなかったし、向いてなかった。何故なら匠だから。自身も「育てられなかった」とは言ってました。彼なりの必死の努力は教育ではなかったのです。いる場所が違ったんだと思います。

でもそのお陰で?ニーマンに出会えたんですが。

 

ラストの9分19秒は本当にぐいぐい引き込まれました。

「ラスト何分を見逃すな」というキャッチコピーはだいたい辟易するものが多いのですが、この映画は違いました…!

刮目したまま逸らせなくなる。強引に魅せつけられる。目眩のするほどのプレッシャーや、その狂気にも、愛憎にも、闘争本能にも。

 

ニーマンの体がドラムや音楽、その場の空気と一体になっているシーンには鳥肌がたちました。これがほんとに演技なのかと思う程…。

初めてフレッチャーとニーマンがシンクロ/セッションして到達した境地…凄まじかったです!!

 

認めさせたいと追い縋る姿が惨めなものではなく、相手を屈服させる執念と技術の原動力になり、共に目指していた境地にたどり着いた師弟…。

これは言葉では言い表せないので是非全部見て欲しいですね。ラスト9分だけを観るだけでは味わえないので全部通して観て欲しいです。ラスト9分のために。

【映画】インフィニ/INFINI(2015)【感想】

予告編を見た時パンドラムを思い出して観てみたくなった映画。

「パンドラム」はもっと評価されても良い映画だと思うんですよ!小道具とかよく出来ていると思うのです。例えばインスタントコーヒー。宇宙食インスタントコーヒーはレーザーを照射すると(その熱で?)液体化するというとても保存が効きそうな品です。髭剃りなども刃ではなくレーザー。これで誤って切ってしまうこともなさそう!

このままではパンドラムを称える記事になってしまいそうです。

 

「インフィニ」は噛めば噛むほど味が出るスルメ映画です。好みは分かれるでしょう。

個人的には「パンドラム」ほど引きこまれなかったw

でもそれはハリウッド的なカメラワークやCGのない(低予算であったそうです)ためで、シナリオや設定はすごく面白いSF!なので人を選ぶ、惜しい映画だと思います。

SF好き(得意)な方にはおすすめです。

 

マトリックス』シリーズの制作スタッフが新たに描く、革新的SFスリラー!ここでは、人類の《常識》は通用しない。 © 2014 Storm Vision Entertainment Pty Ltd

 

 オーストラリア制作映画、というのはあまり見る機会がない(私は多分見たことない)のですが…すごく独特の雰囲気があるように思いました。なんとも形容しがたいのですが…。

あとスリラーですが全然怖くないです。

 

もう一つ特筆するなら、SF用語が多いので理解するのが大変なシーンも多いです…。用語に対する説明はほとんどありません。例えば私は「ペイロード」という用語などを知らなかったので一回見ただけでは「??」と思うことが多かったです。しかしその点ではSFとして完成度が高い作品であるからかもしれません。

 

以下、ネタバレ感想をダラダラと…。

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【映画】フライト・ゲーム/Non-Stop(2014)【感想】

わりと色々な映画に出演していらっしゃるのでついつい「またリーアム・ニーソンか」と言ってしまいますが、好きですリーアム・ニーソン。むしろリーアム・ニーソンだから観てみた映画です。もちろんストーリー面白そうだからという理由も含めて。

NY発ロンドン行旅客機の警備のため、客を装って乗り込む航空保安官のビル。真夜中、彼の携帯に指定の口座に送金しなければ、20分ごとに機内の誰かを殺すというメールが届く。悪戯か本気か半信半疑でいるうちに、1人目の犠牲者が出てしまう。ビルは乗客を拘束して荷物や携帯を調べるが、何ひとつ手掛かりは見つからない。乗客名簿を調べた保安局は、「全員問題ない。お前以外は」とビルを疑う。彼には暗い過去があり、今もある問題を抱えていた。さらに犯人の指定口座がビルの名義だと判明する。2人目、3人目と犯行は繰り返され、機内の疑惑と緊張感が頂点に達するなか、次のタイムリミットが迫る──!(C)2014 TF1 FILMS PRODUCTION S.A.S. STUDIOCANAL S.A.

 

飛行機内――密室ということで、さてどう展開するのか、グダグダになったりしないかしらと不安もありましたが、良いアクションスリラーでした。

ただ前半のハラハラ感に対し、最終的にはうまく(無難に?)軟着陸したような(飛行機の話ではなく)展開のストーリーなためおすすめ度は個人的には低めという…。

感想も…じつはこれといってピンとこなかったもので、なんと表現したら良いものか…。面白いのです!面白いのです…が…。

 

ジャウマ・コレット=セラ監督といえば「エスター」(エスターはすごく面白かった!それで過度に期待してしまったかもしれません)ですがこの作品も前半の陰鬱な感じと犯人探しの緊張感/疑心暗鬼が最高です。登場するキャラクターがどの人物も胡散臭い感じが良いのでしょうか。

主人公ビル・マークスは悲壮感漂う娘ラブな航空保安官。アルコール依存症

窓側の席に執着する女性――ジェン。ビルの隣の席の人に頼み込んで強引に席を変わってもらうほどの行動力がある。ざっくばらんな性格だけれど隠し事アリ。

初飛行機初体験で怖がる女の子/お父さんに会いに一人旅――ベッカ。

ベッカの知り合いで面倒を見るチーフCA/ビルと知り合い――ナンシー。

荷物検査の時携帯電話で大声で話していたため心象の悪いプログラマー――ザック。

正義感溢れる横柄そうなNY市警――オースティン。

空港で気さくに話しかけてくる教師――トム。

「お客様の中にどなたかお医者様は!?」――ファフィム。

ビルとは対照的にエコノミーに乗る胡散臭い同僚――ハモンド

などなど…。

結構登場人物多いです。

私は視聴しながら犯人を予想していましたが、結果は遠からず…分かる人にはすぐ分かるとも思います。

 

全然関係ないですが飛行機内でいちゃついて座席の背もたれ蹴る輩には個人的に殺意が湧きますね。イチャついてもいいからせめて背もたれ蹴るなと。何のためのビジネスクラスだと。

 

あと作中でビルの使っているqwertyキースマートフォンが欲しいです…。恐らくLG VX9600ではないかとのこと。qwertyキーがついているスマートフォンはもうほとんど市場からは無くなってしまっているので。キー付きのスマートフォンはもうノキアかLGくらいしかないですよね…。

 

 物語はビルへの犯行予告メッセージから。仮にも航空保安官という高いセキュリエティシステムを導入しているであろうビルのスマートフォンに侵入しメッセージを送りつけてきます。最初は同僚の悪戯かとあしらうビル。

しかし最初の殺人が犯人ではなく主人公が犯すという超展開に衝撃が走ります。これは予想していませんでした!致し方無いとはいえ何故殺したし…。相手もなぜビルに向かっていったし…。

 

作中で主人公と犯人のメッセージのやりとりがテロップで表現されるのは見やすいし共感できるので好きです。憶測/推理も共感しやすいですし、「シャーロック」シリーズと似てますね。テロップで作風にエッセンスを加える映画といえば「ゾンビランド」もオススメです。

 

そしてついに犯行予告通りの殺人――原因不明の死が立て続けに起こり疑心暗鬼も加速する様はハラハラします。

しかもビルに目立った欠点(アルコール依存症だとか暴力的だとか…もう既に一人殺している事実とか)があるために客観的にみてどうみてもビルが怪しいです。本当にありがとうございました。

 

乗客が無茶する(ビルを襲撃する)シーンは本当に無茶だと思って笑ってしまった。

 

そして乗客が偶然撮影していた映像から見出された犯人――愛国心が歪んでしまったトム。ビルの感じた最初の違和感はあたってた…。ただ不審者が多すぎて埋もれていた。

 わざわざビルに犯行声明送ってくるということはビルのこと執着していて調べあげているはず。それなら近くで犯行計画/進行具合を監視していたいだろうし、計画が想定外の方向に向かった場合修正したくなる筈。

乗客がビルを襲撃するのは犯行計画にとっては支障をきたす出来事だったから手助けしたのですね。 

 

そして終盤は窮地かつ狭い機内でのまさかの乱闘や発砲、爆発が起こり、急降下したとはいえよく機体がバラバラにならなかったと思う展開でした。 その辺の映像は迫力があり素晴らしいです。

 

この作品、ビルもですが副操縦士が一番頑張った…!

 

飛行機不時着後の最後の誘導は、本当にテロがあったのかと思うほどわりと落ち着いていてツッコミ入れずにはいられませんでした。どホントだったらもっと騒いだりパニックに陥るものではと思ったり。 

そして終わってみると、あんなにビルのことこき下ろしていたメディアの誤解がすぐ解けたのも…解せぬ!w

ずっと声だけだった上司は最後の最後に出演。

NY市警無事だったwどの映画でもNY市警は強いですねw

 

オチがあっさりしていてエスターのような壮絶さがない感じが、疾走感を減退させてしまったのでしょうか。原題がノン・ストップなのに。どうせならばどこかこう…激突するくらいの衝撃があってもいいではありませんか。

でも犠牲者が最小限に抑えられたというたいへん優しい世界なので、映画を見終わった後に猜疑心に悩まされることもないでしょう。

 

個人的には面白いのになんか勿体無い映画です。

【映画】ルーシー/LUCY(2014)【感想】

リュック・ベンソン監督!スカーレット・ヨハンソン主演!これだけ揃っていればヒット作なこと間違いなs――。

しかしなんだか評判が良くない模様…。何故?あらすじ読んだ限りでは個人的にはすごく興味そそられるのに?と不安と興味を抱きながら視聴。

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10%しか機能していないと言われる人間の脳。しかしルーシーの脳のリミッターは外されてしまった――。

  

 

…うん。

 面白く無いということはない。でも緊張感には欠けるという…。アクションに(派手だけどそこまで)力が入っているわけではなくSFに注力している点では本当にSFに拘った作品でしょうか。ストーリーというか雰囲気的には「トランセンデンス」にも似てます。

 

冒頭で不幸にも事件に巻き込まれるルーシーの状況を、獲物が捕食されるシーンと掛けあわせて表現していることが人間の”野蛮(Savage)”さを表現していると思います。

 

作中に出てくる人工的に合成されたCPH4(脳を活性化させる薬物…らしい。胎児の骨の成長を促す物質だとか何とか。麻薬組織はこれを新しいドラッグとして売りさばきたい)を事故(というにはかなり不幸な状況)で多量摂取したことで脳が活性化。超人的な能力をもつに至ります。

 

しかし急激な進化を遂げ肉体操作などを繰り返したルーシーの細胞は自己完結化(不死化?)を目指し一時は崩壊しかけます。制御が効かない自身の細胞を脳の機能を上げること――さらにCPH4を摂取することで、なんとか食い止めます。この時の食べ方は脳が進化した人間と言うにはあまりに野性的(やはりSavage)です。

 

痛覚を制御のみならず他者の肉体を操るに至り、周囲の状況をこれまで以上に認識できることから干渉できるようになり、最終的には時間をも自在に干渉できるようになります。

 

うーん…それは…どうなんだろう?いくら脳の能力が上がっても時空間操作できないと思います。時空間って重力と関係する要素なので、脳機能向上で念動(サイコキネシス)使えるようになったとしても空中浮遊までじゃないかなぁ、と…時間操作はチートすぎです。

が、映画として最初の人間――後にルーシーと呼ばれる類人猿と出会うのは絵になりますね。この類人猿が突然目の前に現れたルーシーに恐怖や捕食ではなく「好奇心」をもって手を差し出す(指先で触れようとする)のが印象的です。進化の中の「好奇心」は非常に重要な要素だと思いますので。

 

あとハリウッド版「攻殻機動隊」にスカーレット・ヨハンソンがプッシュされているのが分かりました。というかルーシーが押井守版の素子(少佐)に限りなく似た存在になっています。

自己完結によって崩壊へ向かうルーシーはノーマン教授の助言――「生物は全自己情報を次世代に伝える」という言葉から人類の進化を促すため(あるいは何か完璧すぎて次にすることが見当つかないから?)彼女が知り得た情報を教授に託すことを選択。

そのために自身の体をその辺の機器やネットを介して次世代コンピューター化させネットに接続。

その間にCPH4を麻薬として使いたい組織とパリ警察がドンパチ。シュールすぎ。

ドンパチの間にルーシーは地球――生命の過去を観測。でも、なんでそんなことしてたのかよく分からなかった…。多分副作用的な。認識して干渉できるようになったので地球にアクセスした際見えたのかも。星新一の「午後の恐竜」みたいです。

全ての情報を現在のパソコンで読み込めるようUSB化して(ものすごい配慮)、役目を終えたルーシーの肉体は霧散するのですが、どうやら肉体は滅んでもコンピューターに接続した時にネット上に彼女自身(?)は流れたようです…。

 

まんま素子ですね!

 

進化というか電子の世界へ彼女の存在は生命体として新しい存在を生み出した…

 

って、フォローしようとしましたが、まんま素子ですね!

 

これはハリウッド版攻殻機動隊のデモンストレーションだったのではないでしょうか?

攻殻機動隊を既に視聴していたら単に人体か義体かぐらいの差の映画としか思えなくて…。

 

なんだか評価が低いのも分かります…。

こういうストーリー苦手な人多いと思います。私は好きですがそれだったら押井守版「攻殻機動隊」がもうやったという感想しか…。

うーん…何というか勿体無い…。

面白く無い訳じゃない、でも面白くない…見終わればそんな感じの映画です。

【映画】ナイトクローラー/Nightcrawler(2014)【感想】

ジェイク・ギレンホール主演。大好きな俳優の一人。ドニー・ダーコとかミッション: 8ミニッツ、プリンス・オブ・ペルシャ…どれも何度も観ちゃう映画。

しかしこの映画…恐ろしい映画です。端的に胸糞悪い系映画です。何度も観たくないかもw度合いは…それこそ個人のモラルに左右されるかもしれません。気にしなければ気にならない事。それが怖いのです。

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第87回 アカデミー賞脚本賞ノミネート!視聴率至上主義が生む戦慄の報道パパラッチ。ニュースが伝えるのは、真実か?©2013 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

 

全体的に夜が非常に綺麗に描写/撮影されている映画です。OP、EDの月夜の映像はパソコンの壁紙に欲しいくらい。併せてBGMも合っているし、とにかくすごく綺麗です。

その綺麗さが夜という静謐感のある時間帯、そのもう一つの面、隠匿された犯罪/騒乱を綺麗なコントラストで表現しているような。

気取った感じの映画にも思えますので、のめり込めるかどうかは人によります。

娯楽映画のような吸引力はないです。絵画を鑑賞するような感じで視聴する映画ですね。

 

出だしから主人公ルーのクズっぷりが最高です。主人公は主人公なりに非常に真面目で一生懸命なのですが…実のところ素晴らしい学歴も職歴も実績もない。

 

もう一つ、この作品のベースにはモラルが低下している/する社会情勢というのは欠かせないのではないでしょうか。あてにならない警察(LAですし事件は多いから手が回らないのもありますが)、不況、高い失業率、倍率の高い求人、軽犯罪でしか生計を立てられない状況…悪意に満ちて悪循環に陥った社会。

 

日銭を稼ぐ中、ハイウェイでルーは交通事故とそれを撮影するクルーを目にします。

その出会いがルーにとってまさに岐路となります。

ニュースでは毎日事故や事件などの(凄惨さのある)ニュースが流れています。日々需要があるわけです。これは稼げるのではないか?きっとキッカケはこのくらいの気持ちだったと思います。

 最初は機材も撮り方もアマチュア…しかし徐々に機材が揃い(カメラやライト、警察無線を傍受するツール、車…etc)、人を雇ったりと元来もつ主人公の行動力と勤勉さが光ります。そしてもうひとつ、交渉術のスキルも徐々に磨かれていきます。序盤のコソ泥の時の交渉から、ディレクターや同業者達とのやり取りを経て、一種のカリスマ的な人物に変貌していく様は鳥肌がたちました(気持ち悪くて)。

 

雇った助手リックに語るビジネス論など所詮ネットで拾った付け焼き刃の情報なのに、自信を持って発言するその様に飲まれるというか?客観的に視聴者は「何言ってんだコイツ、職なしコソ泥だったくせに」と思うはずですが、実際にこういう人がいたら…?自信たっぷりに語る姿に嘘だとか思う以前に、気圧されるように「そういうものか」と思うでしょう。

実際、リックはルーから罵倒される日々の中で徐々に誘導?されていくわけですし。

 

またストーリーが進むにつれルーの表情も日々の生活の焦燥感から、センセーショナルな絵を撮るために貪欲な、ギラつく表情に変わっていく…この辺のジェイク・ギレンホールの演技(とメイク)で画面に惹きつけられれてしまう。洗面所で鏡を割るシーンなど怖いくらい。

 

そしてルーが映像を売り込んでいたTV局のディレクターもおかしくなっていきます。

視聴率低迷であえぐTV局のディレクター。番組にテコ入れできる映像がほしい。そのために凄惨な現場を伝える、という意識がやがてそういう絵(映像)を求め、そういうシナリオを求めることに変わっていく…。真実ではなく視聴率を維持する事実と脚本のみが優先されていく…。いったいどこからモラルが消えたのか…境界が非常に曖昧。

放送コードに引っかからなければいい!と声を大に言った辺りは確実かな…。

 

ルーの方もどんどん常軌を逸していきます。もともとクズだったのですが、クズから人非人に変わります。同業者の事故に同情するどころかネタにする、事前に殺人事件現場にいながら通報よりも撮影を優先…ニュース放映を意識してあえて通報を遅らせるなど。

撮影する側からみれば非常に合理的です。

合理性を常に追求しているのです。

ルーもディレクターも、どちらもごくごく普通の、しいていえば仕事熱心な人。欠点をあげるなら地位みたいなものに貪欲になった点でしょうか。

 

あ、助手のリックはバカだったと思います。欲に目がくらんだ点もそうだし、実はルーほど度胸もない。要領も良くない。ルーにふっかけてきた事自体が間違いだったように思います。

ルーは確かに大見得きりだけれど、自分のやることに強く自信を持っている。先のことも考えている。勝負どころも見極めている。

リックはそれが出来ない。

のに、ボスに噛み付いてしまったわけです。バカですね―。いや、彼なりに這い上がりたかったんですが…バカですね―。

 

(思えば出てくる人物みんなクズじゃあないですか…)

 

終盤のカーチェイスはなかなか良かったです。緊迫する映像がルーの精神状態ともリンクして見えて、最後の盛り上がりとしては良いエッセンス。

 

よりセンセーショナルな映像を求め徹底的に傍観者になるその姿、自身の繁栄のために貪欲に突き進む姿勢は究極の合理性。

最終的にリックに「イカれている」と評される。

ディレクターからは「素晴らしい」と評される。

警官からは「ウソつき」と評される。

これらはどれも是なのです。

 

 ラストはある種のサクセス・ストーリーとして幕を閉じます。

これまで言っていた口先だけの会社ではなく本当に会社として起業し、車もバンになり、新規雇用まで…。社長として独自のあの付け焼き刃だったビジネス論を展開。

ルー「成功の近道は献身と従順」

ルー「僕は自分ではやらないことを君たちに求めたりはしない」

そんなルーを羨望と期待を含めた目で見つめる新規雇用者(ルーの追従者)達。やがて彼らもモラルを放棄するということでしょうか。

 

最初は主人公が徐々に狂気に侵されていく映画なのかと思いましたが、ルーは至って正気です。始終正気です。狂気でもサイコパスでもない、合理的に動いただけの普通の人間の姿が描かれていました。

これは一部のYouTuberやニコ生主と同じ感じですね…。Twitterの炎上などにもみられる共通点。凡人が何かを求めて起こした行動――過剰欲求が人間を社会性から逸脱させる感じです。で、これが多くの人が目を背ける人間らしさです。

なので主人公ルーをクズと一蹴するのは浅はかだったかもしれません。端的に言うにはクズですが、ルーは本当にただの凡人です。

 

 私は人間らしさとはモラルの有ることだと思っていたのですが、この映画はモラルをかなぐり捨てることで人間らしさを表現しています。それにリアリティを感じるとは…かるく目眩がします。

私が求める人間らしさとは理想論なのだと、アバターや第9地区ぐらい「汚い!人間汚い!」と叫びたくなる映画です。そんな汚い人間性を綺麗な夜景と音楽、脚本で際立たせてくれた監督に感嘆します。

 

ガムみたいに噛めば噛むほど味が出る映画ですかね…胸糞悪くなりますが。

【映画】シャーロック 忌まわしき花嫁/SHERLOCK The Abominable Bride(2015)【感想】

現代版のドラマとは異なり1895年を舞台にしています。総集編みたいな作品なのでこれまでのシリーズを視聴してからがお勧めです。

多分単発で観てしまうと…意味が分からない部分が多く出てくるのではないかと。作中にあるTVシリーズのオマージュとか、人物の相関図、モリーの魅力とかモリーの魅力とかモリーの魅力が。

今作はなんというか…作りが難解な作品です。

 

トーマス・リコレッティの前に、数時間前に命を絶ったはずの夫人がウエディング・ドレスを着て現れる。一方、レストレード警部から夫が妻の幽霊に殺された、と事件の説明を受けたシャーロック・ホームズは、ワトソンとともに事件解決へと乗り出すのだったが…。シャーロック・ホームズジョン・ワトソンの名コンビがロンドンを舞台に活躍する、TVドラマ「SHERLOCK/シャーロック」の特別編。

今回は吹き替え版で視聴。

 以下、ネタバレ含め感想をダラダラ。

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